成長期にある子どもは、成長や発育を利用しながら治療が進められるので、よりスムーズに理想的な位置に治すことが可能となります。大人になってからも矯正治療は可能ですが、抜歯が必要になることも多く、顔立ちを整えるために外科的な手術が必要な場合もあります。メリットが大きく、リスクが小さくて済むのが小児矯正なのです。
当院では、あごの成長を利用し、歯並びに悪い影響を与えるクセや姿勢を直しながら、自然できれいな歯並びへと導く治療を行います。
<小児矯正のメリット>
・あごの成長を利用して、その位置や大きさを治すことができる
・永久歯への生え変わりを利用できる
・あごの骨を動かすこともできるので、顔立ちを自然な形に整えることが期待できる
・さまざまな種類の装置が利用できる
・装置を使う時間が確保しやすい
・将来、永久歯の抜歯を少なくできる
・歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病の予防効果もある
・よく咬めるようになるので内臓の負担も軽くなる
・歯並びがコンプレックスになることを軽減できる
・トータルな矯正費用が抑えられる
<小児矯正のデメリット>
・治療を受ける本人の自覚が低いことがある
・中学生以降まで続くことがあるので治療期間が長くなる

歯並びが整っていない不正咬合は、見た目が悪いだけでなく、うまく咬めないため上手に物を食べることができなかったり、しゃべりにくく発音が悪くなったり、舌足らずなしゃべり方になるなど、子どもの成長にさまざまな悪影響を与えます。
一番の問題は、歯並びが悪いことやお友達と違うことがコンプレックスとなり、人前で笑ったり話したりすることに消極的な性格になることです。お子さんの学校生活やお友達関係をより充実させるために、将来を考えた矯正治療が必要です。
<不正咬合が影響するトラブル>
滑舌が悪い/舌足らずなしゃべり方/吃音
将来を考えながら負担が少ない矯正を行います
まず骨格の検査を行ってご両親のお顔立ちを確認し、お子さんの年齢や成長、性格、ライフスタイルなどを検討します。また、お手入れの難しさや治療への協力具合を勘案して治療計画を立てます。将来非抜歯で矯正できるように、骨格の成長発育を促し、お子さんの負担をできるだけ軽く、最も効果が出る装置をご提案します。
スムーズに第II期治療に移行できる配慮をしています
矯正治療中は定期的な診療を行い、効果的で継続できる歯磨き指導を行います。また、成長や矯正の進行度をきめ細かくチェックして、将来の治療へスムーズに移行できるように配慮しています。お子さんの体調や生活スタイルの変化にも柔軟に対応して、矯正治療がよい形で継続できるように心がけています。
指しゃぶり、頬づえ、爪咬み、唇を咬む、口呼吸などの習癖があると、一定方向に力がかかってあごやお顔の成長に悪影響が出て、お口の中が正しく成長しません。
特に問題となるのが口呼吸です。歯は、舌と頬の間の位置に並びます。口呼吸でよく口を開けている子は舌で前歯を押していたり、舌を前歯の間に挟んでいたりすることが多いです。これらの習慣は、出っ歯や受け口、開咬(前歯が合わせられず、前歯で物が噛み切れない咬み合わせ)などの原因となります。
当院では、筋機能の正常な発育を促すために、お口周りの筋肉や舌のトレーニングといった筋機能療法も行い、悪いクセや習慣も改善しながら矯正治療を進めます。
●歯並びや話し方に影響を与える悪習癖(悪いクセや姿勢、習慣)
口呼吸/頬づえをつく/爪咬み/指しゃぶり/うつぶせ寝
2~7歳
乳歯の歯並びや咬み合わせを診察し、歯の成長発育に問題をきたしそうな場合、あとから生えてくる永久歯に悪影響を及ぼしそうな場合、治療しておけば永久歯の矯正治療の必要がなくなる可能性が高い場合などは、予防的な矯正治療をお勧めしています。
7~11歳 第I期治療
乳歯から永久歯への生え変わりやあごの成長の様子を観察しながら、部分矯正や成長促進、あるいは抑制を行います。小学校高学年で一旦終了します。
12~15歳 第II期治療+保定
永久歯の本格矯正治療を行います。成長期を利用した治療を行う場合は、女の子は13歳、男の子は15歳くらいまでに実施します。治療終了後はリテーナーを用いた保定を行います。
16~18歳
必要に応じて、親知らずの抜歯や成長後の治療の後戻りがないかなどを経過観察します。この時期から治療を開始する場合は、大人の矯正治療とほぼ同じ扱いとなります。治療終了後は保定を行います。
生後半年ぐらいから成長に伴って乳歯が生え、やがて永久歯に生え変わり、歯並びの問題がだんだん明らかになってきます。問題が出てきた場合、早期にあごの成長を促すような矯正をしておいた方がよいか、しばらく成長を見守るか、専門家である矯正歯科医のチェックが必要です。
親御さんや上のご兄弟の歯並びが悪くて心配な場合などは、早めに診察を受けることをお勧めします。子どもの成長は早いですから、様子を見守る場合も1年に2~3回のチェックが必要です。
乳歯を大切にすることが、永久歯の歯並びにつながります
乳歯の虫歯にも注意が必要です。歯と歯の間が虫歯になると、乳歯の間が狭くなったり、永久歯の生え方に悪影響を及ぼします。将来のあごの形や歯並びは、この段階で乳歯を大切にするかどうかで決まるのです。また、口呼吸や指しゃぶり、爪咬みや舌を出すクセも歯並びに悪影響を与えますから、気になるクセや習慣は早めに治しておきましょう。
乳歯のときから準備的な治療を行うこともあります
乳歯の歯並びや咬み合わせを診断する中で、将来生えてくる永久歯の問題もわかることがあります。あごの形や歯の生え方をチェックして問題が早期発見できれば、簡単な矯正治療(歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド))などで歯並びを整えることができます。
この時期から矯正をスタートすると、成長してからの矯正治療よりも簡単に歯並びを整えられる可能性が高くなります。さらに乳歯の歯並びから、近い将来生えてくる永久歯の歯並びも予想できるので、あごを拡げるなど、この時期ならではの矯正治療が行えます。
永久歯が生えてくると、受け口や出っ歯などの咬み合わせの異常がはっきりとわかるようになってきます。この時期以降に、咬み合わせが自然に治ることはほとんどありません。またこの時期には、これから生えてくる永久歯の大きさが予測できるので、歯並びの問題がどれくらい起こるかが明確にわかります。
そこで、前歯が永久歯に生え変わる7~9歳頃から、今後生えてくる永久歯がなるべくよい状態で生えるようにするための矯正治療を行います。たとえば、あごを拡げる治療や奥歯を後ろに動かす矯正で、全体が収まりやすい環境をつくります。通常2年くらい治療を行い、その後は永久歯が生え揃うまで経過観察を行います。
この第I期治療を行うことによって永久歯の歯並びが改善され、第II期治療の負担が減ります。軽度の不正咬合の場合、第II期治療が不要となる場合もあります。歯の生え変わりの時期は個人差が大きく、治療開始時期は症状によっても異なります。お子さんの咬み合わせや歯並びの悪さが気になったら、ぜひご相談ください。
永久歯の生え方にも注意が必要です
乳歯のときは問題がなかったのに、生え変わりが始まり、永久歯の生え方が悪いことや指しゃぶり・舌のクセがきっかけで受け口や出っ歯、開咬などになってしまうことがあります。これらの悪い影響が骨格全体の問題となってしまうこともあります。
また、乳歯が抜けていないのに乳歯の下から永久歯が生えてくることがあります。永久歯がきちんと生えるように、早めの発見が必要です。定期的にチェックを受けていれば、早めに適切な治療や処置が受けられます。かかりつけの歯科医師や矯正歯科医師と相談しながら、生え変わりの時期を見守ることが重要です。
すべての歯がほぼ永久歯に生え変わったら、生え揃った永久歯をきれいに整え、しっかり咬めてきちんと発音できるようにする第II期の矯正治療を行います。通常2年くらい治療を行い、そのあとはきれいな状態をキープするために保定を行います。
自分の外見などが気になり、ちょっとしたことでも悩みやすい思春期。歯並びが悪かったり、咬み合わせなどが悪くて発音に問題があったりすると、大きなコンプレックスとなりがちです。早めに歯並びや口元のコンプレックスをなくして、勉強にスポーツに積極的に頑張れるようにしたいものです。
難しい年頃を親子で乗り越えましょう
一方で、親や大人に反抗する思春期に入り、矯正治療を嫌がるケースも出てきます。できれば、思春期になる前に矯正治療を開始することをお勧めします。思春期後は、本人が歯並びを治したいと自主的に思う気持ちになるまで、親子でよく話し合ってから矯正治療を始める方がよいでしょう。
親知らずのチェックが必要な高校生
高校生になると、治療の方法も目的も自分で考えられるようになり、比較的スムーズに治療が進みます。周りに矯正治療中や治療を経験した同級生なども多く見受けられるようになり、心強いでしょう。
あごの成長はほぼ終わっていますが、この頃から親知らずが生える場合があります。せっかくきれいに治した歯並びが親知らずのせいで崩れることもあるので、親知らずがどのように生えてくるかのチェックが必要です。
受験や部活動にも配慮します
中学生・高校生は、部活や受験など生活にも変化が多く、忙しい時期です。当院では、受験の時期を考慮して治療を進め、テストや部活動などにも配慮して診療を行います。
また、矯正装置をつけたままでもスポーツはできますが、口元に相手の手や足があたることがある格闘技や球技などは注意が必要です。装置をガードする歯科用マウスピースを使って対応することができます。吹奏楽の場合、トランペットのように唇にマウスピースを押しつけるタイプの楽器は、歯の表側に矯正装置がついていると唇があたって痛むことがありますので、治療前にご相談ください。